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文化のグローバルとローカル、理念と政策をむすぶ

  • 国際交流学科

岡橋 純子 教授

国際協力、国際機関、世界文化遺産、都市計画、地域共創、文化多様性

优德体育,优德w88体育appのテーマ

文化に関わる国際条約のガバナンス(世界遺産条約、無形文化遺産保護条約など)、国際関係におけるソフトパワーのあり方、歴史文化を活かした持続可能なまちづくり、地域文化資源の活用と教育、文化遺産のオーセンティシティ概念と修復?再建をめぐる議論、戦災?災害後の社会復興における文化遺産再建の意義、など。

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もともとは、フランス文化を优德体育,优德w88体育appしていました。大学院では、「地域文化优德体育,优德w88体育app専攻」でフランス語を駆使して歴史、思想、地理、政治、社会、美術、と時代も分野も自由に学際的に特定の社会文化を読み解く訓練をしました。今では、フランスに限らず优德体育,优德w88体育app対象をよりグローバルに拡げていますが、ある特定の地域文化を包括的に掘り下げる优德体育,优德w88体育app方法を身につけたことは、非常に役立ちました。仕事も含めて別の国や地域に向き合う際に、その手法と考え方を踏襲できたからです。そして、表面的なものやステレオタイプにとらわれずに、複眼的に時空を読み、その地の人々をリスペクトすることや、その地における諸課題がこれまでどのような主体によって、なぜ、どのように扱われてきたのかを考え、深く理解しようとする姿勢につながったからです。

これまで70を超える国や地域を訪れていますが、差異よりもむしろ人類に通じる普遍的なものを読み、感じるようになっています。私の优德体育,优德w88体育app姿勢は、抽象的な概念と実践的な政策をブリッジする視座に基づいています。
かつて、国際連合教育科学文化機関(ユネスコ)に10年ほど勤めていました。パリを拠点としながら、ネパール、インド、アフガニスタン、マリ、セネガル、ケニア、タンザニア等、さまざまな国に足を運んで現地の人々と協働してきました。国連や国際協力の世界に関心を持ったのは、ロンドンに暮らしていた中学生の頃になります。授業中に湾岸戦争についてのディベートが行われたのですが、13、14歳の同級生が真剣に討論する中、私は何も意見を持てずに圧倒されて聞くばかりでした。その時、心に浮かんだのは、平和とは当たり前で簡単なものではなさそうだという考えです。平和構築という言葉は知りませんでしたが、そのような世界を目指すためには相互理解と尊重がないと成り立たない、という漠然としたものでした。

その後、「戦争は人の心の中で生まれるものであるのだから、人の心の中に平和の砦を築かなければならない」と提唱する国連機関、ユネスコの存在を知って、「そこで働きたい」、「文化の多様性を尊重し合い、それを政策化する仕事に就きたい」と考えるようになっていました。そのために英語力を磨き、数々の恩師のご指導のもとフランス語も習得しました。

私の优德体育,优德w88体育appの軸にあるのは「国際協力」ですが、より詳しくいうと「文化という分野での国際協力」になります。
国際協力というと、途上国に学校を造る、道路を整備するといった開発援助の一側面を思い浮かべる方が多いかもしれません。それも正解ですが、私がおこなってきたのは、各地の文化遺産を守るための仕組みを作ることです。
例えば、フランスには街並みを保全するための優れた都市計画法がありますが、その「法」を、他の国にそのまま持っていっても、うまく取り入れられるとはかぎりません。それぞれの国には、土地に根付いた慣習や考え方があり、いかに洗練された外国の「法」であっても、すぐ適用できるとは限らないためです。私が优德体育,优德w88体育appしてきたのは、異なる土壌の人々が互いに学び合って法を作ったり改正したりできるような合意づくりであり、政策支援です。要は、グローバルとローカルをつなぐこと、これをつねに目指して実践から理論を模索しています。

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私が着目しているのは、文化遺産学の世界で「カルチュラル?マッピング」と呼ばれる手法です。土地にある文化的な価値、特徴的な要素について、内部者である現地の人々がなかなか気付くことができないことがあります。だからこそ第三者が共に発見する視点が意味を持ちます。
例えば建築家、人類学者、職人、学校の生徒など、人によって評価?注目するポイントは変わってきますから、いろんなタイプのコミュニティーで重層的にマッピングを行い、その土地の特徴を多角的に見いだしていくことが望ましいのです。

文化遺産の対象となる価値を発見する時、形のあるものだけでなく、無形の技術についての目配りも重要です。例えば茅葺き屋根なら、それを作りあげる技術のみならず、茅をどうやって管理するか。洗練された彫刻が施された建築があるならば、その意匠を可能にする職人の技術、さらには職人の知識の継承制度を続けることができるのかといった、社会構造にも考えをめぐらせることが必要なのです。

実地での优德体育,优德w88体育appでは、ネパールのカトマンズで、カルチュラル?マッピング手法での質的調査をおこなうことを計画し、現地の専門家や学生と共に、災害後再建?復興過程のコミュニティーで調査をし、优德体育,优德w88体育appを通して現地の方々と共に発見する手段と場を形成しする計画をすすめてきました。2020年には大学の研修として学生がプランニング段階から企画を作り上げる訓練をかさね、トリブヴァン大学のチームとの現地共同調査を実現しました。

カトマンズ?ヴァレーは、比類なき伝統建築や祭などの豊かな有形?無形の文化に満ちています。ネパールの学生と本学学生は、ともにヒンズー教や仏教の信仰の表象が混交するルートを10キロ以上歩いて探察したり、自治体が大学や国連の協力のもと構想中の開発事業に関する草の根意見を、重点的活性化想定区域でのインフォーマル?インタビューの形式で聴取したりしました。市民生活の奥地まで触れることにより参加学生は現状を鮮烈に感じとり、ガバナンスやコミュニケーションのあり方を中心に諸問題を取り上げたディスカッションを交わして考察を深めました。
友好に根づく国際協力には、相互の歴史文化への理解?敬意と信頼関係構築が欠かせません。
この研修では、ネパール政府の専門官や大学関係者、地域の方々をはじめ他にもさまざまな立場の方々に接し、二国間関係、地政学、開発政策への日本の協力課題について、日本を軸とした視点に立ちそれまでの学びを深めることができました。その後、本学学生と共にタイ、カンボジア、インドネシアでも同様の研修をおこないました。

高校生や学生へのメッセージ
いまの若いひとたちは、パソコンやスマートフォンで音楽を聴くことが多いと思いますが、時には、生の演奏に触れてください。生の演奏には、音を聴くだけでなく、演奏者を見る楽しみもあり、身体に響く一体感や湧き上がる感動は生ならではのものがあります。じかに触れるからこそ感じ取れることがあるのです。

また、音楽に限らず、外に出かけていって、自分で触れ、五感で感じ、人と交流し、さまざまな感動体験をしてください。こうしたリアルな経験が、柔軟にいろいろなものをつなげて考えられる感性を磨くことにつながります。できれば旅をして、一年に一度は、行ったことのない場所へ行ってみて自分をそこの空気に晒し、外的世界だけでなく自分の内面に向き合うことをおすすめします。
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